2018年5月30日水曜日

私の本棚(24):素数の音楽


・ブログ (ドッと混む・Knuhsの書斎) から転載

── 素数の音楽


 私の本棚を紹介します。


 第24回は、素数の音楽という本を取り上げます。


 上掲写真は
・「素数の音楽」
です。

 周知の通り「素数」というのは数学の世界では最も注目度の高いテーマですから、どちらかと言えば技術書という分類に属する本でしょう。しかし素数の研究に取り組んだ数学者たちの業績、歴史、あるいはその裏にある人間臭い数々のエピソードを読んでいると、面白くて、面白くて、思わずのめり込んでしまうのです。もちろん数式も沢山出てきますが、意味を理解するのにそれほど苦労することはないでしょう。一般書と思って気楽に読むことをお勧めします。


【解説欄】

▼素数の音楽
 大きく分けて、次の三つの話題から全体が構成されています。
(1)リーマン予想
 1 からある自然数 n までの間に素数がいくつあるか、その分布はどのように変わるか。この問題の解決に寄与すると思われる「リーマン予想」に取り組んだ人々の記録です。

(2)コンピュータの時代
 コンピュータを用いて巨大な素数を見付ける競争の時代となりました。公開鍵方式での暗号化が可能になるからです。しかし素因数分解が簡単にできる方法さえ見つかれば、今のeビジネスの根幹が崩れてしまう危険性もあるのです。

(3)素粒子との共通性
 数の元素でもある素数の分布(つまりゼロ点の分布)と素粒子の元素のエネルギー準位との間に共通性が見出されました。つまり、数学者の考える元素と物理学者の考える元素との間に共通の性質があることが分かってきたのです。これからの協力が重要になってきました。

 私が特に関心を持ったのは(3)です。興味のある方は是非本書を読むことをお勧めしたいと思います。


 ( カバーの表紙 ) 




 ( 本体の表紙 ) 




 ( 扉 ) 




(目次:11章,12章)  (目次:1章…10章) 


▼著者
 著者のデュ・ソートイは、オックスフォード大学数学研究所の教授であり、科学啓蒙という分野への業績により大英帝国勲章を受章している。


マーカス・デュ・ソートイ
(Marcus du Sautoy)

▼本の詳細

(1)「素数の音楽」THE MUSIC OF THE PRIMES, Copyright (c)2003 by Marcus du Sautoy:2013年10月1日 発行, マーカス・デュ・ソートイ(Marcus du autoy) 著, 冨永星 訳, \890 新潮文庫 シ-38-1, ISBN978-4-10-218421-9 C0198


2018年5月29日火曜日

私の本棚(23):ジョージ・ガモフ


・ブログ (ドッと混む・Knuhsの書斎) から転載

── ジョージ・ガモフ


 私の本棚を紹介します。


 第23回は、ガモフ全集の中から2冊を取り上げます。


 上掲写真で、右から順に、
(1)ガモフ全集・第6巻「1, 2, 3,……無限大」、
(2)ガモフ全集・第2巻「太陽の誕生と死」


となっています(詳細は【解説欄】を参照してください)。

 私が(1)の「1, 2, 3,……無限大」を手に入れたのは19歳のときでした。数学の好きな私に母親が買ってくれたものです。この本はガモフ全集の第6番目のものですが、タイトルから数学の好きな私に最適と思ったのでしょう。母親は、訳者の崎川範行先生から教えを受けたことがあるとも言っていました。以来、私にとっては特別な本となったのです。
 当時、世界初の人工衛星(スプートニク)がソ連により打ち上げられ、宇宙科学への関心が特に高くなった時期でもあり、私は貪るように読みふけったものでした。

 私が(2)の「太陽の誕生と死」を購入したのは46歳のときです。書店の棚にガモフ全集が並んでいるのを発見したのです。私の持っている本とは外装のデザインが一新され、しかも函(はこ)付きになっていました。思わず「1, 2, 3,……無限大」を開いてみましたが、内容は以前のものと変わりありません。そこで第2巻のみを購入したのです。


【解説欄】

▼ガモフ全集・第6巻「1, 2, 3,……無限大」
 現代科学の最も興味深い事実と理論を集めて、科学者の眼に映るのと同じように読者(子供も含む)に分かりやすく解説することを目的としてこの全集が構成されています。これが、今から約70年前に企画されたものであるという事実が私には信じられないことなのです。

 
 ( カバーの表紙 )       ( カバーの裏表紙 )




 ( 本体の表紙 ) 




( 目次1 )          ( 目次2 )     


▼ガモフ全集・第2巻「太陽の誕生と死」

 我々の太陽はどうしてできたのか。最近ようやく、この太陽の過去、現在および未来に関する疑問に答えることができるようになってきたのです。このスケールの大きいテーマが、今から約70年前から書き始められ、今でも読み継がれていることは驚異ですらあります。

  
 ( 函の表 )         ( 函の裏 )




 ( 本体の表紙 ) 




 ( 目次1 )    ( 目次2 )     ( 目次3 ) 


▼著者
 著者の写真は(1)のカバーのそで 部分から


ジョージ・ガモフ
(George Gamow)


▼本の詳細

(1)ガモフ全集・第6巻「1, 2, 3,……無限大」ONE TWO THREE ... INFINITY by GEORGE GAMOW, Original Copyright in U.S.A. (c)1947, 1961 by GEORGE GAMOW, Copyright in Japan (c)1951 by HAKUYOSHA Publishing Co., Ltd.:1951年7月15日 初版発行 1958年3月10日 12版発行, G.ガモフ(George Gamow) 著, 崎川範行 訳, \480, 株式会社 白揚社

(2)ガモフ全集・第2巻「太陽の誕生と死」THE BIRTH AND DEATH OF THE SUN by GEORGE GAMOW, Original Copyright in U.S.A. (c)1940, 1945 by GEORGE GAMOW, Copyright in Japan (c)1950 by HAKUYOSHA Publishing Co., Ltd.:1950年5月2日 新1版第1刷発行 1974年105日 新2版第24刷発行, G.ガモフ(George Gamow) 著, 白井俊明 訳, \950, 株式会社 白揚社


2018年5月26日土曜日

私の本棚(22):ジェフリー・アーチャー


・ブログ (ドッと混む・Knuhsの書斎) から転載

── ジェフリー・アーチャー


 私の本棚を紹介します。


 第22回は、ジェフリー・アーチャーを取り上げます。


 上掲写真で、右から順に、
(1)   「百万ドルをとり返せ!」、
(2,3) 「ケインとアベル」上/下、
(4,5) 「ゴッホは欺く」上/下、
(6)   「プリズン・ストーリーズ」、
(7,8) 「誇りと復讐」上/下、
(9,10)「遥かなる未踏峰」上/下、
(11)  「15のわけあり小説」

となっています(詳細は【解説欄】を参照してください)。

 ジェフリー・アーチャーは、英国議会史上最年少で下院議員に当選した政治家だったのですが、株式投資の詐欺に引っかかり全財産を失うことになります。それを機会に作家デビューした彼は、処女作「百万ドルをとり返せ!」の大ヒットにより借金を全額返済してしまうのです。

 政界復帰してからは党副幹事長などを務めますが、スキャンダルをすっぱ抜いたタブロイド新聞を訴えいったんは勝訴します。しかしその後、偽証罪に問われて実刑判決を受け、服役する身となってしまいます。しかし収監中の経験から数々のプリズン・ストーリーが生まれてくることになるのです。まさに小説の主人公のような波乱万丈の人生を送ってきた作家として有名です。


ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Archer)
(Wikipedia から引用)


【解説欄】

▼「百万ドルをとり返せ!」
 詐欺師に騙されて北海油田の幽霊会社の株を買わされ百万ドルを巻き上げられた4人の男たちが、智慧をしぼってきっちり同額の(1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく: Not a Penny More, Not a Penny Less -- 原題名)百万ドルを取り返す話です。

 天才的な数学者、医者、画商、貴族の4人が、それぞれの専門知識を生かして頭脳の限りを尽くし展開する痛快な奪回作戦が見事です。映画化もされたらしいです。


 ( 表紙 ) 


▼「ケインとアベル」上/下
 二人の男(名門出のエリート銀行家とポーランド移民のホテル王)がたどる数奇な運命を追う物語です。ここには収容所小説、企業の内幕物、戦争文学、復讐物語、愛の物語といった大長編小説のテーマがすべて含まれています。これまでのアーチャー作品とは一線を画すシリアスな内容です。


 ( 上/下の表紙 ) 


▼「ゴッホは欺く」上/下
 ハイジャックされた飛行機が世界貿易センタービルに突入した自爆テロ事件9.11により多数の行方不明者と死者が出た事件を背景として、絵画のオークション業界の情報とをからめた胸のすくようなサスペンス物に仕立て上げられています。


 ( 上/下の表紙 ) 


▼「プリズン・ストーリーズ」
 鞭(むち)のことを“cat o'nine tails”(九尾の猫)と呼ぶらしい。これは昔から罪人を鞭打つのに九本縄の鞭が使われたからで、鞭打たれると猫の爪で引っかかれたようなみみずばれができることからそう呼ばれたらしい。原作のタイトル“Cat O'nine tales”は、この“tails”(尻尾)を語呂合わせで“tales”(物語)に置き換えたもので、著者自身の刑務所体験をもとに書かれた短編集です。


 ( 表紙 ) 


▼「誇りと復讐」上/下
 これは現代版「モンテ・クリスト伯」とも言うべき作品です。身に覚えのない殺人の罪で投獄された青年が、奇想天外な方法で脱獄し自分を陥れたエリート4人に復讐する物語です。

 この本に出てくるエピソードの多くは、著者が収監されていたベルマーシュ刑務所で実際に体験したことがほぼそのまま忠実に再現されているそうです。


 ( 上/下の表紙 ) 


▼「遥かなる未踏峰」上/下
 世界の最高峰エヴェレストへの初登頂はいつ誰が成し遂げたのか。
 エヴェレストへ挑み「なぜ登るのか?」と尋ねられると「そこに山があるからだ」と答えたという、あの悲劇の登山家ジョージ・マロリーの物語です。

 ジョージ・マロリーは英国の国民的英雄であり、エヴェレストへの登攀に挑んだが、はたして本当に登頂に成功したのか、死後も長らく大きな謎となっていました。ジェフリー・アーチャーによる初の山岳小説であり、ジョージ・マロリーの栄光と挫折の物語です。


 ( 上/下の表紙 ) 


▼「15のわけあり小説」
 ここで取り上げられている15編の短編小説は、どれも実際にあった話のように思われるものばかりです。実際、10編は実際にあった出来事に基づいています。残りの5編は著者の創作ですが、実際にあったことではないかと思わせるものがあります。

 原題の“And Thereby Hangs a Tale”は、「それにはわけがある」という意味で、思わず にやりとしたり、にっこりしたり、うなずいたりしたくなる「ちょっといい話」ばかりです。


 ( 表紙 ) 



▼本の詳細

(1)「百万ドルをとり返せ!」NOT A PENNY MORE, NOT A PENNY LESS, (c)1976 by Jeffrey Archer : 1977年8月30日発行, 1993年9月15日第52刷改版, 2009年8月25日72刷, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-1, \926, 新潮社, ISBN978-4-10-216101-2 C0197

(2)「ケインとアベル(上)」KANE AND ABEL(vol.Ⅰ), (c)1979 by Jeffrey Archer : 1981年5月25日発行, 2007年10月25日第55刷改版, 2009年7月25日57刷, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-4, \781, 新潮社, ISBN978-4-10-216103-6 C0197

(3)「ケインとアベル(下)」KANE AND ABEL(vol.Ⅱ), (c)1979 by Jeffrey Archer : 1981年5月25日発行, 2007年10月25日第55刷改版, 2009年9月20日57刷, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-3, \781, 新潮社, ISBN978-4-10-216104-3 C0197

(4)「ゴッホは欺く(上)」FALSE IMPRESSION(vol.Ⅰ), (c)2005 by Jeffrey Archer : 2007年2月1日発行, 2008年11月20日第3刷, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-25, \629, 新潮社, ISBN978-4-10-216125-8 C0197

(5)「ゴッホは欺く(下)」FALSE IMPRESSION(vol.Ⅱ), (c)2006 by Jeffrey Archer : 2007年2月1日発行, 2008年11月20日第4刷, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-26, \629, 新潮社, ISBN978-4-10-216126-5 C0197

(6)「プリズン・ストーリーズ」Cat O'Nine Tales, (c)2007 by Jeffrey Archer : 2008年6月1日発行, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-27, \667, 新潮社, ISBN978-4-10-216127-2 C0197

(7)「誇りと復讐(上)」A Prisoner of Birth(vol.Ⅰ), (c)2008 by Jeffrey Archer : 2009年6月1日発行, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-28, \667, 新潮社, ISBN978-4-10-216128-9 C0197

(8)「誇りと復讐(下)」A Prisoner of Birth(vol.Ⅱ), (c)2008 by Jeffrey Archer : 2009年6月1日発行, ジェフリー・アーチャー 著, 永井淳 訳, 新潮文庫 ア-5-29, \743, 新潮社, ISBN978-4-10-216129-6 C0197

(9)「遥かなる未踏峰(上)」Paths of Glory(vol.Ⅰ), (c)2009 by Jeffrey Archer : 2011年1月1日発行, ジェフリー・アーチャー 著, 戸田裕之 訳, 新潮文庫 ア-5-30, \667, 新潮社, ISBN978-4-10-216130-2 C0197

(10)「遥かなる未踏峰(下)」Paths of Glory(vol.Ⅱ), (c)2009 by Jeffrey Archer : 2011年1月1日発行, ジェフリー・アーチャー 著, 戸田裕之 訳, 新潮文庫 ア-5-31, \590, 新潮社, ISBN978-4-10-216131-9 C0197

(11)「15のわけあり小説」And Thereby Hangs a Tale, (c)2010 by Jeffrey Archer : 2011年5月1日発行, ジェフリー・アーチャー 著, 戸田裕之 訳, 新潮文庫 ア-5-32, \705, 新潮社, ISBN978-4-10-216132-6 C0197


2018年5月1日火曜日

私の本棚(21)絵物語:小松崎 茂の世界


・ブログ (ドッと混む・Knuhsの書斎) から転載

── 小松崎 茂の世界「ロマンとの遭遇」


 私の本棚を紹介します。


 第21回は、小松崎 茂の世界を取り上げます。


 今回取りあげる本は、小松崎 茂の世界「ロマンとの遭遇」の一冊だけです。


【解説欄】

▼小松崎茂の世界
 昔、日本中の少年たちが冒険と空想の世界に魅せられ、日々胸躍らせていた時代がありました。漫画絵物語の全盛時代(1950(昭和25)年頃から)があったのです。

 ここで絵物語というのは、物語の文章部分とがはっきりと関係付けられていて、単なる挿絵小説とは異なる形式がとられていました。特に絵は、精密に描きこまれた迫力ある写実的なもので構成されているのが特長でした。山川惣治小松崎茂の作画によるものが最も人気があったと記憶しています。

 以下に、絵物語の例を示します(私の昔の資料から)。


 ( 平原王-2 )     ( 平原王-1) 


 後に、漫画が“マンガ”となり“劇画”ブームが到来すると、気が付くと絵物語というジャンルはいつの間にか消えていました。漫画とマンガ絵物語と劇画の違いについては諸説ありますので、ここではこれ以上深入りはしません。

 そして1990年(平成2年)の初頭だったと思いますが、突然 新聞広告で『小松崎 茂の世界「ロマンとの遭遇」』の発売予告が出現したのです。偶然これを見つけた昔漫画少年の私めは、突然目覚めたように絵物語の時代を思い出し、すぐさま購入することにしたのです。

小松崎 茂の世界「ロマンとの遭遇」
 小松崎茂の作品は、少年向けの月刊誌に発表されるのが普通でしたから、まとまった作品は私の手元にはほとんど残っていません。ただ、昔買った少年向けの雑誌の一部が保管されているのでその中に見ることができるだけです。

 それと比較して、手塚治虫の作品(*1)が手元に沢山残っているのは、実は例外的なことだったのだと実感しています。
【注】(*1)私の本棚(1):「手塚治虫ワールドのすべて」の手塚治虫漫画全集参照。
 インターネットで調べたところ、私の持っているのは初版(1990年4月2日発行)で、その後表紙の異なる版が 2006年3月になって発行されているようです。


以下の絵は「カバーの表表紙」と「カバーの裏表紙」です。


( カバーの表表紙 )



( カバーの裏表紙 )


以下の絵は、カバーを外した本体の方です。「本体の表表紙」と「本体の裏表紙」です。全面青色になっているので見栄えがしません。そこで色調を自然なものに変えてみました。それが緑で枠取りされた最初の画像です。


( 本体の表表紙 )


( 本体の裏表紙 )


以下の絵は、目次の前にある「」の絵です。


( 扉 )


以下は「目次」です。


( 目次 )


以下の絵は、先に表示した「本体の表表紙」の絵ですが、色調を変更しています。

 小松崎茂の絵は多くは戦災で焼失したと言われています。この絵も過去の出版物から復元したものではないかと思われます。詳細に見ると縦に2本の線が入っているのが分かります。大型の口絵を折り畳んだ跡ではないかと思います。折れ目の線の目立つところを補正したように見えるのです。その証拠に2つのサインが記されているからです。1つは1951年の原画作成時のサイン、もう1つは1990年の修正時のサインと解釈するのが妥当でしょう。


( 本体の表表紙 )
(色調を変更)


以下の絵は、本体の表表紙から「ハリケーン・ハッチ」の絵だけ抜き出したものです。私が最も気に入っている絵です(色調を変更しています)。本体の表表紙は、こういう色調で発行して貰いたかったですね。


( ハリケーン・ハッチ )
(色調を変更)


その他、代表的な絵を紹介します。


 ( 地球SOS ) 



 ( なつかしのペン画 ) 



( 大平原児1 ) ( 大平原児2 ) ( 大平原児3 )



 ( 口絵:大和と武蔵 ) 



 ( 宇宙戦艦ヤマト ) 



 ( 勇者ラディーン、ゲッターロボ、ゼロテスター ) 


●著者:小松崎茂氏です。
 小松崎茂氏は、活躍していた当時はほとんど顔写真を公開していなかったように思います。私はこの本で初めて著者の御尊顔を見ることができました。感激です。


小松崎 茂      晩年の写真
(「ロマンとの遭遇」から引用)         



▼小松崎茂のサインについて
 ここで、小松崎茂のサインについて触れておきます。

 「ハリケーン・ハッチ」のところで触れたように、この絵には小松崎茂のサインが二つ記されています。一つの絵に二つのサインがあるのは珍しいことです。そして小松崎茂のサインには、必ず描いた年が付加されています。これは彼が画家だからであって、普通は日付を加えたりはしないと思います。

 私は、小松崎茂のサインを初めて見たとき、その迫力あるサインに驚きました。素晴らしいサインだと思います。成る程サインとはこのように書くものなのかと思い知り、これを真似て自分専用のサインをデザインしたのを覚えています。学生時代はそれを使っていましたが、仕事に就いて海外出張したりアメリカに住むようになってからは、もっと簡便なものに変えてしまいました。

 実生活上で、あるいは仕事上でサインを多用するようになると、複雑でサインするのに時間が掛かるものより素早くサインできるものの方が良いに決まっています。また、自分のサインを他人に真似されたくなかったら簡単なものの方が真似され難いのです。余り複雑なサインは避けた方がよいということを学びました。

 最近、トランプ大統領が「大統領令にサインする儀式」をこれ見よがしにやっていますが、あれは自分を必要以上に重々しく見せるためのもので、こけ脅しのためのサインであるとも言えます。普通に使うサインは簡便なものに限ります。


 ( 小松崎茂のサイン:1951年 と 1990年 ) 



・小松崎茂のサイン、いろいろ
 小松崎茂のサインには、大雑把に言って 3種類くらいのタイプがあるようです。


( 1953年 )      ( 1953年 )  


( 1953年 )       ( 1953年 )  


 ( 1954年 )       ( 1954年 )


    ( 1954年 )   ( 時期不明 ) 



▼本の詳細
(1)小松崎 茂の世界 「ロマンとの遭遇」:1990年3月20日印刷, 1990年4月2日発行, 根本圭助 編, 定価3,800円(本体3,689円) 国書刊行会発行